AngelFish.jp
このサイトは熱帯魚の女王と呼ばれるエンゼルフィッシュ(Pterophyllum scalare)をプロブリーダーによる
長年の飼育・繁殖経験に基くノウハウの一部を公開しの魅力と飼育・繁殖など総合情報を提供するサイトです。
飼育・繁殖 思案
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第1章 レッドトップ系エンゼルと色揚げ処理

第2章 エンゼルの繁殖と商品としてのエンゼル

第3章 エンゼルの病気に魚病薬が効かなくなる? 薬の利用と耐性菌の存在

第4章 観賞用として作り出された様々な品種と奇形の関係

第5章 避けては通れない繁殖における選別と淘汰

第6章 最高プロポーションとは何か?品質を追求選別と淘汰

第7章 名前ばかりが先行する幻のブルーエンゼル

第8章 エンゼルにおける改良品種の基本パターン

第9章 組み合わせによって変化する品種の名前

第10章 純血種と雑種、改良に必要不可欠な純血種の存在
 
 
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エンゼルフィッシュ 飼育・繁殖 思案 第5章
避けては通れない繁殖における選別と淘汰
 
 第4章では正常な個体と奇形について書きましたが今回は魚の繁殖を行う上で必要不可欠な作業である「選別」と「淘汰」についてのお話です。 出来れば第4回とあわせてお読みください。
 
 
 人工繁殖に必要不可欠な奇形の選別と淘汰
 
 魚に限った事ではありませんが原則として自然では弱い個体や形のおかしい個体は弱肉強食の掟の元で肉食性の生物に食べられてしまい、自然に淘汰が行われる為に生息する環境に適した強い個体のみが生き残る事になります。

 熱帯魚に限らず生物を人工的に繁殖をさせる場合はこのような自然の「淘汰」が行われない為、繁殖を行った人間が代わりに行わなくてはなりません。 この事がエンゼル等人工的に繁殖を行う場合は避けては通れない「選別と淘汰」と言う作業です。

 選別と淘汰については第4回で奇形と改良品種について話しましたが魚のように一度に沢山生まれるような生物は野生種においても形のおかしい「奇形」が少なからず生まれてくるものです。 1つの例としてはエンゼルの野生種を繁殖した場合は薬剤による「後天的」な異常は出ますが胸鰭が欠落していたりする個体の出現率は正確ではありませんが多くても0.5%以下の低い確率です。 しかし、「近親交配(インブリード)」を行うと体質が弱い個体や形に異常のある個体の発生率が高くなり、人工繁殖された個体は野生種に比べると奇形の発生率は遥かに高くなっています。 これは改良品種でなくとも例えば東南アジアなどで大量に繁殖されている安価な魚の大半は近親交配による弊害を気にする事無く増やしている為、原種と同じ種類でも奇形率は高くなります。 

 エンゼルにおいても同様で野生のエンゼルでなければ子供を殖やせばほぼ間違いなく形が歪んだ個体やヒレが無いような奇形は現れます。 近親交配と奇形の関係はまた機会があれば別のお話として取り上げたいと思いますが近親交配を行ったからすぐに奇形の発生が多くなると勘違いされている方も多いですが原種から子供を繁殖させた場合は少なくとも5世代(F5)ぐらいまでは奇形が大量に発生するような事は無いと思います。 どちらかと言えば近親交配によって奇形の選別が困難になり良質な個体の選別が出来なくなった結果が奇形が現れやすくなると言った方が正しい事も多いのです。 (極端に過度な近親交配は別ですが…)

 エンゼルを繁殖させた際によく見られる奇形としては腹鰭(下に伸びるアンテナ状の2本の鰭)の欠落や湾曲する物です。 それ以外にも眼や鰭の一部の欠落湾曲や鰓蓋の欠落、体の歪みなど様々な例があります。 子供のうちはなかなか判断できないようなケースもありますが鰭の欠落などの親とは違う体型をしている場合は正常な個体を残して選別し可哀想ではありますが処分(淘汰)しなくてはなりません。

 私のようにブリーダーとして大量のエンゼルを繁殖させていると色々なタイプの奇形を見てきましたが面白いものでは胸鰭が3本ある個体や金魚の流金のような尾鰭が三尾になっているようなパターンも度々確認しています。 三尾のエンゼルは私としてはエンゼルの体型に合わないと思い、小さなうちに処分をしてしまいましたがこのようなエンゼルは改良品種として作っても面白いかもしれません。

 奇形の遺伝子については生命の力とはすごい物でどうしても繁殖に使える個体が奇形の個体しかいない場合はそのような個体を使用してもその子供から奇形の個体を取り除いて正常な個体を何代も累代繁殖を行ったり、良い遺伝子の個体と交配する事により遺伝子の修復も可能となります。 ただ、そのためには一相厳しい子供の選別と淘汰が必要ですし一般的な方では水槽の数が少なくそのような事が出来ないでしょうからただ自分で飼うのでしたら問題はありませんが繁殖に利用しないのが賢明と言えるでしょう。 

 このように正常な個体を残し悪い個体を分ける事を「選別」、そして悪い個体を処分する事を「淘汰」と呼びます。 私のようにブリーダーとして日常に魚を増やしていても初めてエンゼルフィッシュなどの魚を自分で増やした時の感動は今でも覚えていますがその時の子供に胸鰭が一本無くなっていたりしても処分するような事は可哀想で出来なかった経験があります。 今でも親魚が足りなくなりそうな時は最悪の事態を防ぐ為に予備軍として育てる事はありますが奇形の個体を親魚に使う事は上記で述べたように奇形率が上がってしまうと淘汰の手間が必要以上に多くなってしまいますからまずありえません。

 胸鰭の欠落と言った奇形であっても自分で愛情を持って飼育する事自体は何も問題はありませんがその子供は繁殖には利用するべきではありませんし、お店に引き取ってもらう事が前提として繁殖を行う場合はこのような奇形の個体は厳しく選別しなくてはなりません。 せっかく殖やしたエンゼルを処分する作業は苦しいものですが繁殖を行う際にはほぼ確実に避けては通れない事ですからその事は覚悟して頂きたいと思います。
コンテンツ・イメージ

野生種のエンゼルを除いて改良品種のエンゼルについては繁殖を行なうとほぼ間違いなく奇形個体やプロポーションの崩れた個体が品種によっても違いますが、多かれ少なかれ現れます。 厳しい淘汰を行なっていく事により品種としての品質が保たれるものも多く、ただ殖やすだけでは良いものが生まれるとは限りません。
 
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