AngelFish.jp
このサイトは熱帯魚の女王と呼ばれるエンゼルフィッシュ(Pterophyllum scalare)をプロブリーダーによる
長年の飼育・繁殖経験に基くノウハウの一部を公開しの魅力と飼育・繁殖など総合情報を提供するサイトです。
飼育・繁殖 思案
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第1章 レッドトップ系エンゼルと色揚げ処理

第2章 エンゼルの繁殖と商品としてのエンゼル

第3章 エンゼルの病気に魚病薬が効かなくなる? 薬の利用と耐性菌の存在

第4章 観賞用として作り出された様々な品種と奇形の関係

第5章 避けては通れない繁殖における選別と淘汰

第6章 最高プロポーションとは何か?品質を追求選別と淘汰

第7章 名前ばかりが先行する幻のブルーエンゼル

第8章 エンゼルにおける改良品種の基本パターン

第9章 組み合わせによって変化する品種の名前

第10章 純血種と雑種、改良に必要不可欠な純血種の存在
 
 
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エンゼルフィッシュ 飼育・繁殖 思案 第6章
最高プロポーションとは何か?
          品質を求めた選別と淘汰

 
 第5回で掲載した「選別と淘汰」については繁殖において必要不可欠な作業であり、今回のお話はかなり個人的な主観もありますが昔の古き良きエンゼルを知る者として著者の理想を求めた最高のエンゼルを繁殖させる足掛かりとなる選別と淘汰についてです。 出来れば第5回とあわせてお読みください。

 
 最高のプロポーションとは何か?
 
 第5回では最低限の選別と淘汰について掲載しましたが今回のテーマは最高峰のエンゼルを作る為の選別と淘汰についてです。 

 まずはこのテーマに入る前に最高のプロポーションとはどんなものかについて考えなくてはなりません。 ブリーダーとして多くのエンゼルを殖やしていますが私の中で最高のプロポーションというものは野生の原種、「ワイルドスカラレ」と呼ばれる全てのエンゼルの元となっている原種のスカラレ種でも生息している地域に適した進化を遂げている為、地域変異として色々なタイプの野生のエンゼルが存在していますがどれも幼魚の段階から広い水槽で飼い込むと素晴らしい体型のエンゼルに育ちます。(いわゆる野生種の魅力はこのような所にあると思います) そんな中でも「ペルーアルタム」と呼ばれる事もあるペルー産のスカラレ種のプロポーションが当店の理想であるエンゼルのプロポーションです。

 中でもヒレの長さも遺伝的な要素もありますが原則的にはエサのバランスや飼育されていた環境次第で変化が激しいものです。 ヒレについては環境の影響が大きいと言えますが体型については遺伝によって左右される部分が多く、どんなに良い環境で飼育しても形の悪いエンゼルは良い形にはならない事が多いのが実情です。 

 具体的には輸入の並エンゼルの親魚と南米より送られてくる「ワイルドスカラレ」を比較してみれば一目瞭然ですが模様は同じようでも体の形がまるで違うことを実感できると思います。 文で説明するのは難しいのですがわかりやすく言えば一般的な並エンゼルは体型が丸っぽいのに対して、それに対して原種のエンゼルはアルタムエンゼルに近いひし形をしています。 色々な地域変異を飼育したわけではないので一概には言えないと思いますが少なくとも東南アジアから大量に輸入されるエンゼルに見られるような「でこっぱち」のエンゼルは居ないと言っても良いと思います。

 ではどのようにしたら野生のエンゼルを理想としたプロポーションを作るかにと言う事になりますがそれには非常に多くの問題が山積しているのも事実です。 この先はどのようにしたら良いプロポーションのエンゼルを作れるのかを検証したいと思います。
 
 最高のプロポーションを作るには…
 
 まず最初に理解しなくてはならないのは形が崩れてしまったエンゼルからは絶対に良いプロポーションのエンゼルは生まれないのです。 簡単に言えば一般的に売られているエンゼルから子供をどんなに頑張って殖やしても野生の原種のようなプロポーションの個体は生まれて来ないという事です。

 理想のプロポーションを求める場合はエンゼルがいわゆる「五体満足」であっても生まれてきた子供が全く同じ形と言う事はありませんのでその中から良質な個体を選び出して累代繁殖を行う事が前提となります。 これは長年に渡ってエンゼルの飼育・繁殖を行ってきましたが未だに満足できるだけの血統を作り上げる事は難しいほどの事ですから非常に奥が深いと言えるでしょう。

 日本におけるエンゼルフィッシュの飼育の歴史は非常に長く、少なくとも戦前から飼育・繁殖が行われており、20年、30年前のエンゼルは現在では写真も少なく確認する事も難しくなっていますが主に国内のブリーダーによって繁殖が行われていた非常に良いプロポーションをしたエンゼルが多かったのですが次第に現在のような東南アジア産の「質より量」を優先とした繁殖が多くなり体型も悪くなってしまったと言わざる負えません。

 正直な所、改良品種を完璧に近いまで野生のエンゼルと同じような体型にする事は不可能だと思いますが少なくとも輸入のエンゼルとは一線を引く高品質なエンゼルを求めて当店独自の血統を作るために試行錯誤をしている訳です。 そんなこだわりの「淘汰」と言う作業についてをいくつかご紹介したいと思います。

 
 プロポーションを崩す大きな
           瘤…「でこっぱち」エンゼル

 
 エンゼルの雄雌を見分ける際に特徴として挙げられてる事が多いのが「オスは額が盛り上りこぶのようになる…」のような解説がありますがこれは正確には正しいとは言えません。 第4回でも書きましたがこの特徴は主に東南アジアより輸入されるエンゼルに多く見られる特徴で野生の原種においてはこのような特徴はほとんど現れません。

 このようにこぶのある「でこっぱち」エンゼルは確かに雄雌の判別は容易ですが、とても私の理想とする原種のプロポーションからは程遠いエンゼルですから原則としてそのような個体は繁殖に利用しないのが私の方針です。 このようなエンゼルが好きだという方も居るかもしれませんが理想とするプロポーションからは外れていますのでエンゼルとしては問題はなにも問題の無い個体ですが理想のプロポーションを目指す私の立場では繁殖用の親魚としては淘汰の対象となります。
 ひし形の体型を崩す体型の歪み
 
 上記の頭部がこぶのようになる現象はとにかくそのような個体が現れない血統を作っていく以外に方法はありませんがこちらは繁殖させる親魚の選別を間違えるとその子供からすでに体の歪みが酷くなる厄介な事です。

 エンゼルを繁殖させた際にヒレの欠落と言った奇形以外にエンゼルの体型をじっくりと観察してみると全ての個体が全く同じ体型をしている訳ではなく、中にはいわゆる「バルーン」に近いようなやや体が縮んだ個体や骨格その物が歪んでしまっている個体などが少なからず存在しています。 特に小さい時はほとんど気にならないような場合でもある程度成長しないとわからない場合も多いのでこのような個体はこぶのあるエンゼル以上に注意をしなくてはなりません。 

 私はそのような個体を繁殖に利用する事はテストとして数回行った程度なのでその後、孫以降の子孫に与える影響などは不明ですが数年前の発行された某雑誌で国産の品種として紹介されていた個体の多くがかなり体型が歪んでおり品種改良を優先するばかりに体型を気にせずに繁殖を行っていたのだと思いました。 このような行動はエンゼルの品位を下げる要因になりますからそのような個体は絶対にしてはならない事だと思います。 親魚に使うエンゼルの体型にはくれぐれもご注意下さい。
 
 エンゼルが置かれた理想と現実
 
 最後に私は常に高品質なエンゼルを作るために努力をしていますが正直言ってエンゼルが置かれている現状は理想とは程遠い状況で、どんなに良い形のエンゼルを作っても国産グッピーのようなブランドは存在しない為、輸入にしろ国産にしろ「エンゼルはエンゼル」と言う扱いしかされない嘆かわしい状況である事は確かです。

 私自身はエンゼルの繁殖にプライドを持ってより良いエンゼルを殖やす為に日々の努力をしていますがこのような行動は「ビジネス」として捉えれば自分でも馬鹿げた事をしていると思います。 品種によって価格が違うと言う事だけではなく、「質」に対しての対等な価格設定の出来なるようにならなくては本当に良いエンゼルが一般的に普及する事は無いでしょう。

 オオツカ熱帯魚においては常により良いエンゼルを求めて繁殖を行っておりますがエンゼルが大量に輸入される量に比べれば微々たる量ですし、コスト的にもこのページに掲載した以外にも品種によって異なる色々な品質管理がありますが100%全てを貫壁にまで実行できるものではありません。

 本当に素晴らしいエンゼルに対して対等な価格がつくような本当の意味での国産ブランドが確立されるかどうかはエンゼルを購入される方の意識次第と言えるはずです。 常に安いものが求められるデフレ不況の時代ですから仕方ない部分はあると思いますがエンゼルは長く付き合うことの出来る魚ですから価格以外の品質を見て頂けるようなエンゼルファンの方が多くなる事を祈りたいと思います。
 
コンテンツ・イメージ
ブラックエンゼル
トリカラーダイヤモンドエンゼル
“ウエディング”エンゼル
より美しいエンゼルを作る事を目指せば選別と淘汰は普通にエンゼルの繁殖を行なうよりも遥かに厳しいものが要求されます。 エンゼルの品質は概ね個体の才能が5割、環境が5割で決定されると言えます。 良い個体を愛情を持って丁寧に飼い込む事が良い魚を育てるのに必要不可欠です。
 
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