AngelFish.jp
このサイトは熱帯魚の女王と呼ばれるエンゼルフィッシュ(Pterophyllum scalare)をプロブリーダーによる
長年の飼育・繁殖経験に基くノウハウの一部を公開しの魅力と飼育・繁殖など総合情報を提供するサイトです。
飼育・繁殖 思案
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第1章 レッドトップ系エンゼルと色揚げ処理

第2章 エンゼルの繁殖と商品としてのエンゼル

第3章 エンゼルの病気に魚病薬が効かなくなる? 薬の利用と耐性菌の存在

第4章 観賞用として作り出された様々な品種と奇形の関係

第5章 避けては通れない繁殖における選別と淘汰

第6章 最高プロポーションとは何か?品質を追求選別と淘汰

第7章 名前ばかりが先行する幻のブルーエンゼル

第8章 エンゼルにおける改良品種の基本パターン

第9章 組み合わせによって変化する品種の名前

第10章 純血種と雑種、改良に必要不可欠な純血種の存在
 
 
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エンゼルフィッシュ 飼育・繁殖 思案 第7章
名前ばかりが先行する幻のブルーエンゼル
 
 ブルーエンゼルの名前はエンゼルが好きな方から一度は耳にした事があると思いますがこのエンゼルフィッシュは改良品種として世界中の人が追い求めるまさに幻のエンゼルです。 今回は改良品種の夢であるブルーエンゼルについて書きたいと思います。

 
 幻のブルーエンゼルとは何か?
 
 ブルーエンゼルについてはその名前を知っている人は多くものの名前ばかりが先行して実際に特に青いと思えないようなエンゼルが「ブルーエンゼル」の名前で販売がされる事も多く、私の元にも「ブルーエンゼルというエンゼル居ないですか?」や「ブルーエンゼルと言うエンゼルを見かけましたが販売の予定は無いのですか?」のような質問が寄せられますがいわゆる青っぽいエンゼルと言うレベルのエンゼルは存在していても本当に青いと呼べるほどのブルーエンゼルは未だかつて実物を見たことはありません。

 それではなぜブルーエンゼルの名前が良く知られ、名前ばかりが先行しているのかと言う事ですが、名前ばかりが先行する理由として実際に突然変異によってブルーエンゼルと呼べる青いエンゼルが誕生した事のあるからです。

 具体的にはかなり前の話になりますが日本のプロブリーダーとして世界中に知られる東熱帯魚研究所の東 博司先生によって作り出されました。 エンゼルを繁殖している最中に突然変異によって青いエンゼルが現れ、その個体を撮影したものが私が知る限りでは最初で最後のブルーエンゼルです。 

 この時に現れたブルーエンゼルの写真が「熱帯魚繁殖大鑑」を始め、著書の色々な本や雑誌に登場する事がある為、その結果としてブルーエンゼルの名前と存在は良く知られながらもエンゼルそのものは存在しないと言う幻のエンゼルとなっているのが現状だと思われます。 この時に登場したブルーエンゼルは繁殖が試みられた繁殖能力が無い個体だったようで、改良品種として固定化される事無く幻のエンゼルとなり現在に至るようです。

 現在でもブルーエンゼルを求めた品種改良は世界中で行われておりますが未だに本当の意味での「青いエンゼル」は登場してはいないと思います。 そんな中でも稀に「ブルーエンゼル」の名前で販売されているエンゼルが存在するのはそんな品種改良の途中のようなエンゼルが稀にですが出回るような事によるものです。
 
 現在、流通する「ブルーエンゼル」とは?
 
 正直な所、私は輸入のエンゼルとはエンゼル病の持ち込みが怖いので全く接触をしていません。 そのため、リアルタイムにどのようなエンゼルが作られているのかまではよく知りませんが、ここ10年ほどの傾向としては遺伝子的に言えばノーマルブラッシングエンゼルと呼ぶ事ができる透明鱗のエンゼルで青みの強い「ブルーブラッシングエンゼル」と呼ばれているエンゼルが稀に流通する事があり、このような事から推測すると透明鱗(ブラッシング系)のタイプがブルーエンゼルとして改良が進められているように思えます。

 これとは全く別の物に「カラーエンゼル」と呼ばれる東南アジアでエンゼルに赤・青・黄色・紫と言った色を注射して売られている事があります。 このような人工着色は注射器を使い無理矢理に魚へ色を着色するので他の熱帯魚に無い蛍光色の為、古くから存在しているカラーラージ(ラージグラス)から始まり、カラーコリドラス(白コリ)、カラーアピスト(Goラミレジィ)、カラーグラスキャット(トランスルーセントグラスキャット)やグラミー、エンゼルまで様々な物が作られました。 グラスキャットは元々デリケートな魚でしたから色素の注射による死亡率が高かったようですぐに姿を消してしまいましたがカラーラージやカラーコリドラスは今でも見かける事が多いと思います。

 このような人工着色魚は改良品種と呼べるものではありませんが現実として特に熱帯魚を飼い初めて間もない初心者にはある程度の人気があり、このような魚の需要があることも事実です。  しかし、人工着色の「青」を注射したホワイトエンゼルをブルーエンゼルとして売られているケースもあるようで本当のブルーエンゼルを求める人間としては情けない思いになります。 このようなエンゼルをブルーエンゼルと呼ぶ事は余計な誤解を生むだけですので避けて頂きたいものです。

 他にも「ブルーエンゼル」と呼ばれる魚は多く、勘違いしやすいのが「海水魚」のブルーエンゼルです。 海水魚でも「エンゼル」と呼ばれるヤッコの仲間などが存在します。 その中でも青い種類をブルーエンゼルと呼ぶのでアクアリウムの雑誌などで海水魚のお店とわかりにくいような場合は淡水魚のエンゼルと海水魚のエンゼルを誤解するような事もあるようです。 この他にもディスカスにも「ブルーエンゼル」と呼ばれている品種もあるそうでこのような事もブルーエンゼルと言う改良品種が存在するような誤解と混乱を増やす要因となり難しいものになっているのだと思います。
 
 このようにブルーエンゼルは今でも幻のエンゼルであり世界中のエンゼルファンの夢でもあり、私としては安易にブルーエンゼルの名前を出してもらいたくないと言う思いが強くあります。 エンゼルフィッシュの名前はある程度自由につけられている事もありますが青っぽい程度のエンゼルをブルーエンゼルの名前で売るような行動によりそのような質問をされる事も非常に苛立ちを覚えます。 エンゼルを本当に愛するのであればもしそのようなエンゼルを購入したとしてもそれをブルーエンゼルと呼ぶような事は辞めて頂きたいと思います。

 私はブリーダーとしてエンゼルを殖やしている為、人並み以上にブルーエンゼルへの思いはありますので本当に青いエンゼルが登場しない限りはブルーエンゼルの名前は使う物ではないと思います。 エンゼルの呼び名はある程度は人の自由な部分がありますが誤解を招くような行動だけは避けて頂ければ幸いです。

 少なくともブルーエンゼルに関しては1度この世界に生まれて来たエンゼルですから同じように突然変異によって現れる事も充分に考えられるはずですからこの幻のエンゼルがもう一度現れることを心から祈りたいと思います。 
 
コンテンツ・イメージ

 写真はオオツカ熱帯魚で何年間も研究を続けているブルーエンゼルを目指して選抜交配を行なっている特殊な血統の個体。 純血な並エンゼルの個体群からより形が良く、より青い個体を選抜交配し研究を進めているものです。

 突然変異ではなく、選抜交配によって改良を行なうには莫大の費用と時間、そして労力が必要な大変な作業です。 全く青い色素を持っていない為、遺伝子組換え技術のみで作られる青いバラとは違い、エンゼルには多少は青い要素を持っている為、何十世代と言った選抜交配を繰り返せば不可能は可能になるはずです。
 
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