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第9章 組み合わせによって変化する品種の名前

前章のテーマでエンゼルフィッシュの品種について、独立型と複合型の系統についてご紹介しました。今回は品種の組み合わせによって名前が変化する特殊な改良品種について掲載します。

品種の組み合わせにより名前の変わる種類とは?

前回の飼育繁殖 思案の第8章では基本的な品種を解説しましたが、一般的に販売されている品種の中でも独立型品種+複合型品種の組み合わせにより品種改良された種類は多く存在しています。

代表的な品種として「レッドトップエンゼル」と「トリカラーエンゼル」はお店で販売されていることが多いと思います。この2種類の品種は遺伝子的にはレッドトップエンゼルは2品種の組み合わせ、トリカラーエンゼルは3品種の組み合わせにより作り出されている品種です。それでは、どのように名前が変化するのか、またどのようなパターンで名前が変化するのかについて検証してみたいと思います。

名前の変化する品種の特徴:レッドトップエンゼルについて

レッドトップエンゼルについては第1章の「レッドトップエンゼルと色揚げ処理について」でも掲載していますが、レッドトップエンゼルの名前で販売されている個体には単にゴールデンエンゼルを赤く色揚げした個体と遺伝子的な交配パターンとして成立する個体の2タイプが存在します。当店では色揚げを行わなくてはゴールデンエンゼルに戻ってしまうような紛い物をレッドトップエンゼルとは呼びませんので、後者の遺伝子的に成立する品種のみをレッドトップエンゼルとして扱います。

遺伝子的に成立するレッドトップエンゼルの定義は「ゴールデン」+「ブラッシング」の組み合わせによるもので、その中でも頭部が赤く染まる性質を持つ個体をレッドトップと呼びます。つまり、遺伝子パターンで名前を呼ぶ場合は「ゴールデンブラッシングエンゼル」となりますが、このレッドトップ系の品種は個体差が非常に多くレッドトップの範囲が狭いものもあれば、広い個体もおり、また頭部が赤くならない個体も存在します。

レッドトップ同士の子供でも個体差が多く小さなうちは特に判別が困難なことですが、レッドトップにならない白色一色の個体を「ホワイトエンゼル」と呼び区別されます。遺伝子的な交配パターンでは同じですが、個体の表す特長によって品種名が変わるのが、このレッドトップ系のエンゼルの特徴と言えるでしょう。

名前の変化する品種の特徴2:トリカラーエンゼルについて

トリカラーエンゼルはこの品種もまた名前について色々と言われている事があります。「トリカラーエンゼル」のほかにベールテールタイプは初めて製作した人の名前を称して「ギアンニズ・コイ・エンゼル」と呼ばれることもあります。 

この品種は当店ではレッドトップエンゼルにマーブル模様を加えただけの品種なので全く新しい品種を誕生させたのであればともかく、品種の組み合わせで作られた品種に製作者の名前を賞する事はおかしいと考えます。そのため、当店ではこの品種については「トリカラーエンゼル」と呼ぶことで品種としての定義をまとめています。

さて、上記の文である程度は書いてしまいましたが、トリカラーエンゼルは「ゴールデン」+「ブラッシング」+「マーブル」の3つの品種の組み合わせによって成立している品種です。この中でレッドトップの定義を満たしている個体をトリカラーと呼び、レッドトップの無い白色ベースの個体はホワイトマーブルエンゼルとなります。 

レッドトップとトリカラーの違いはマーブル模様の有無であり、レッドトップエンゼルの定義を明確に与えていないとトリカラーエンゼルもゴールデンマーブルエンゼルの色揚げ個体を呼ぶことにも繋がりかねないので注意をして頂きたい所です。

その他の改良品種における名前の変化

この他にも色々な品種で名前の変化がありますが、代表的な品種としては並エンゼル+ダイヤモンドでは「シルバーダイヤモンド」と名前が変わります。並エンゼルのバンド模様の無い個体を「シルバーエンゼル」と呼ぶ事もあり、このエンゼルは同時にバンドがスポット状になった個体を含めて「ゴーストエンゼル」と呼ばれるケースもあるので複雑です。

また流通量も限られていることから、ちゃんとした品種の定義が存在しない種類も存在しています。例を挙げるときりがありませんが、他にも近年になって新しく登場した「プラチナエンゼル」はまだ登場して間もない種類のためか「プラチナブルーエンゼル」や「スーパークリスタルブルーエンゼル」などとも呼ばれているようです。

このような現象は新しく品種が登場すると嫌でも行われることですが、このエンゼルについては「プラチナエンゼル」の名前が最も妥当な名前ですから、今後はプラチナエンゼルの名前で統一されていくと思います。

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プロの語る 飼育繁殖 思案 コンテンツ一覧

第1章 レッドトップエンゼルと色揚げ処理
第2章 エンゼルの繁殖と商品としてのエンゼル
第3章 エンゼルの病気に魚病薬が効かなくなる? 薬の利用と耐性菌の存在
第4章 観賞用として作り出された様々な品種と奇形の関係
第5章 避けては通れない繁殖における選別と淘汰
第6章 最高プロポーションとは何か? 品質を求めた選別と淘汰
第7章 名前ばかりが先行する幻のブルーエンゼル
第8章 エンゼルにおける改良品種の基本パターン
第9章 組み合わせによって変化する品種の名前
第10章 純血種と雑種、改良に必要不可欠な純血種の存在
第11章 ハーフブラックエンゼルは特異な遺伝子
第12章 ラムナン硫酸が熱帯魚の脂肪肝を予防する
第13章 繁殖させた魚の処分方法


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大塚慎太郎
この記事を書いた人
オオツカ熱帯魚 店主
飼育歴40年 繁殖歴35年 プロブリーダー歴27年
専門分野エンゼルフィッシュ、ラミレジィ、アピストグラマ、その他熱帯魚類の繁殖全般

熱帯魚繁殖大鑑(緑書房)の著者であり、熱帯魚の繁殖研究で世界的に名を知られる東熱帯魚研究所 東博司氏の元で師事、長年に渡り飼育・繁殖の技術を学び独立。様々な魚種の飼育・繁殖、生態学など豊富な知識を生かしてプロブリーダーとして良質な熱帯魚類の繁殖・販売を行う。

  • アクアライフ(エムピージェイ出版)のエンゼルフィッシュ特集協力
  • 楽しい熱帯魚(白夜書房出版)のエンゼルフィッシュ・ラミレジィの特集協力
  • プレコニアの繁殖記事、熱帯魚・水草図鑑(ピーシーズ出版)への写真提供
  • Weblio辞書協力(熱帯魚写真館)
  • All About Japan 熱帯魚オンライン図鑑 写真提供
  • TV番組や出版物への取材・写真提供の協力など
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