この章ではハーフブラックエンゼルの特異な遺伝子とその正体について推察した結果を掲載します。
他の改良品種と大きく異なるハーフブラックの出現率
このハーフブラックエンゼルは他の改良品種とは遺伝が大きく異なり、同じ品種同志で産ませても出現率は多くても2~3割程度しかありません。ほかの品種と交配するとF2(2世代目)まで繁殖させても、300匹以上も育てて生まれた子供に1匹もハーフブラックは生まれることがありませんでした。
旧金沢ディスカス研究所の筆秀一氏もアクアライフの特集でこのハーフブラックエンゼルの遺伝について書いていますが、私自身も同じ結果を身をもって確かめる事となりました。あまり人気のある品種では無い為、それ以上に遺伝子を研究して複合型の品種制作を進めるのは断念した経緯があります。
ハーフブラックの特徴と遺伝から正体を推察する
この特異なハーフブラックの遺伝はこの品種が単なる改良品種ではなく、雌雄モザイクによる品種である可能性が推測されます。雌雄モザイクは体の半分がオスであり、体の半分がメスとなる、ここでのポイントは体の半分で綺麗に分かれる点です。
雌雄モザイクについて詳しく知らない場合、Google検索で調べると色々と出てきます。
ハーフブラックエンゼルも雌雄モザイクとして、オスの半分がノーマルエンゼル+メスの半分がブラックエンゼル、もしくはその逆でオスの半分がブラックエンゼルでメスの半分がノーマルエンゼルの雌雄モザイクである可能性が推測されます。
本来、繁殖能力を持たないはずの雌雄モザイクですが、フラワーホーンなどには雌雄同体の個体も存在することから、エンゼルもそう言った特徴を持つ個体がいても不思議はありません。ただ、通常の雌雄モザイクは体の左右がオスとメスに分かれるので、ハーフブラックエンゼルのように前と後で分かれる訳ではありません。
これは推測の範囲を出ないものですが、体半分の色が変わる特性+他の品種には見られない特殊な遺伝、この2つから推測すると、このハーフブラックエンゼルは雌雄モザイク、もしくはそれに近い特殊な突然変異である程度の可能性はあると思われます。
ハーフブラックエンゼル同士の繁殖で子供にハーフブラックの出現率が低いのも、雌雄モザイクの遺伝が関わっているとしたら説明ができる現象です。エンゼルを普通に飼育するには、何も関係のない情報ですが、エンゼルの改良品種にはこんな特異な種類もあると言うことを掲載しておきます。