第2章ではエンゼルを繁殖を前提とした飼育と品種によって異なる繁殖難易度について説明しましたが幼魚を飼育して順調に成長するといよいよペアの形成となります。 この第3章ではペアの形成とその判別について掲載しますので第1章と第2章も合わせてお読み下さい。
飼育から繁殖への第1段階、良い親魚の育成
繁殖を行なう為の飼育は第2章で紹介しましたが、SサイズやMサイズのエンゼルを飼育して半年ほど経過すると生後10ヶ月前後に該当し、エンゼルたちは若い親魚に成長します。この成長の過程の中でシクリッドの仲間特有のテリトリー争いも激しくなり、競争に勝てない個体は痩せてしまい自然淘汰されることもしばしばあります。
単に飼育を楽しくだけでしたらこのような個体は別の水槽に隔離して充分な餌を与えると回復しますが、体質的に弱い面があるので繁殖を行なう親魚としては虚弱体質を子孫に受け継がせてしまう危険があり、なるべく親魚としては利用しない方が賢明でしょう。
このような個体は可哀想ではありますが自然淘汰に任せるのもひとつの方法です。エンゼルを飼育し、順調に育てば概ね生後10ヶ月~12ヶ月ほどになると水槽の中でエンゼル達は繁殖を行なう為のペア形成を行ないます。
雌雄の判別とペア形成の確認
ペアの判別方法はエンゼルはオスとメスで色や形が異なるような明確な判別基準は無く、ある程度エンゼルを見慣れた方であれば判別をできますが、見慣れていない方にはなかなか困難な作業です。
主にオスとメスの違いはオスの方がメスと比較して一回り大きく成長し、プロポーションの良い美しい個体の場合が多く、特に水槽の中で最も強い個体はその大半はオスであるとケースが大半です。逆にメスの特徴はオスと比較して体が丸みが強く、全体的に優しい印象になる事やわずかですが、腹部が卵で膨れると言った特徴もあります。
このような特徴をふまえてエンゼルを飼育している水槽を少し距離を置いて観察していると大きめの個体とやや小振りの個体が2匹で仲良く泳ぐ姿を観察する事が出来るようになます。この2匹が他の個体を追い払う行動をしていればペアと見て間違いはありません。
エンゼルフィッシュは3年以上に渡って繁殖を継続する魚なので焦る事はありませんから、エンゼルが未熟な状態では繁殖に失敗する事も多い為、じっくりと成熟しペアが出来るのを待つのが得策です。
繁殖方法とその責任 コンテンツ一覧
第1章 繁殖を行なう前に…命を扱う責任
第2章 繁殖に向けた親魚の育て方
第3章 ペアの形成とその判別
第4章 繁殖水槽のセット方法
第5章 産卵~稚魚の育て方