エンゼルと同じシクリッドの仲間は主に南米原産の種類とアフリカ原産の種類に分類されます。その中でもエンゼルと同じ南米原産のシクリッドは非常に種類が豊富で全長3cmほどにしかならない小型種からアイスポットシクリッドのような全長80cmにもなる大型種まで様々です。
エンゼルとの混泳については基本的にエンゼルは同サイズのシクリッドの中では非常に温和な魚であり、サイズを揃えて混泳されると他のシクリッドに突き殺されてしまう事も少なくありません。従って基本的にエンゼルと混泳をさせるシクリッドについては小型種となりますが詳しくは下記にて解説します。
小型シクリッドとエンゼルの混泳
小型シクリッドの仲間については大きく別けて南米産のアピストグラマの仲間とアフリカ産のペルヴィカクロミスに別ける事が出来ます。中でもラミレジィを含めてアピストグラマの仲間は非常に種類が豊富で色彩も様々で水草水槽に良く似合う魚たちです。ペルヴィカクロミスについてはPe.プルケールが最も有名で東南アジアで養殖された個体がコンスタントに入荷しますが、Pe.タエニアートゥスやPe.ロロフィなど色々な種類はいるものの専門的なお店でなければプルケール以外の魚はあまり見かけ無いと言えるでしょう。
小型シクリッドの仲間とエンゼルの混泳についてはサイズを合わせれば特に大きな問題はありませんが、子供のエンゼルとやや気の荒い親魚サイズのアピストなどを混泳される場合はエンゼルが突かれるケースもあるので注意が必要です。逆にエンゼルが大きい場合はエンゼルが追いかける事もあるので水草や流木で隠れ家を作った水槽で飼育すると上手く飼育できます。
また、アフリカの湖産シクリッドは水質が弱アルカリ性の硬水を好むのでエンゼルとの飼育には適しませんが、エンゼルの適応能力は幅広いので水質を弱アルカリ性にあわせれば混泳可能です。主にジュリドクロミスの仲間やランプロローグスの仲間は比較的、温和な種類が多いので混泳は問題ありませんが、ムブナと呼ばれる仲間、主に全長15cmほどの魚が多いのですが、イエローストライプシクリッドやラピドクロミス・カエルレウスなど、小型であっても気の強い仲間もいる為、混泳はあまりお勧めできない種類が多いと言えます。
中型シクリッドとエンゼルの混泳
中型シクリッドについても小型シクリッドと同様、南米産とアフリカ産に分かれますが、エンゼルとの混泳についてはどちらもあまり適した魚とは言えません。
まず、南米産の中型シクリッドについては代表的な種類としてはディスカス、フェスティバム、セベラムやファイヤーマウスなどが挙げられます。多くの中型シクリッドの中でエンゼルと混泳可能な種類は限られており、無難な飼育が可能な種類はディスカスとフェスティバムくらいなものでしょう。その他のシクリッドは気の荒い魚が少なく無いので混泳自体は出来てもヒレや体をを突かれてしまう事を覚悟しなくてはなりません。少なくとも同サイズの中ではエンゼルは温和で気の弱い魚ですから混泳はされるのが無難です。
次にアフリカ産の中型シクリッドですが、河産のシクリッドではジュエルシクリッドを代表としたヘミクロミスの仲間が挙げられ、全長12~20cmほどの魚が多いのですが、非常に気が強く同種・多種を問わずに追いかけ回す事も少なくありません。気の荒い魚同士であれば張り合えますが、エンゼルのような魚では力負けしてしまうので混泳は行なわないほうが良いでしょう。
また、湖産の中型シクリッドとしてはアーリィ(Sc.フライエリィ)を代表とした仲間で10~20cmほどの仲間が多いと言えるでしょう。この手の仲間についてもやや気が荒い種類が多く、弱アルカリ性の水質にエンゼルを合わせれば飼育できない事はありませんが、エンゼルのヒレを突くなどの弊害が予想され、あまり好ましい混泳とは言えませんのでできれば避けるに越した事は無いと思います。
大型シクリッドとエンゼルの混泳
大型シクリッドについては主に南米産のアイスポットシクリッド、アストロノータス(オスカー)、シクラソマの仲間などが多く存在します。中でもアストロノータスは安価で養殖された個体が大抵のショップでは販売されており、その人懐っこい姿に魅了されて飼育する方も少なくありません。アストロについてはこの手の仲間の中では温和な種類はありますが、エンゼルと混泳されるのはジャンルの違う魚ですので大型になるシクラソマの仲間を含めてエンゼルよりも大きくなるシクリッドの混泳は原則として行なうべきではありません。
魚種別混泳マニュアルのコンテンツ一覧
1.カラシン類とエンゼルの混泳について
2.コイ・ドジョウ類の混泳について
3.ベタ・グラミー類の混泳について
4.ナマズ類の混泳について
5.シクリッド類の混泳について
6.メダカ類の混泳について
7.古代魚類の混泳について
8.その他・熱帯魚などの混泳について